亀田六神丸発売開始年:1899(明治32)年
麝香を主成分とする心臓・胃腸薬の効き目。
中国で生まれた六神丸
亀田六神丸のルーツは、中国。清朝の初期(17世紀半ば)とされています。六神丸の名前の由来は、中国で古くから信じられてきた四方の守護神、青龍(東)、白虎(西)、朱雀(南)、玄武(北)の四神に上下の勾陳、騰蛇を加えて六神と呼んだことから、この神々の名を取り六神丸と称したといわれています。一方で、五臓六腑から来ているという説もあります。
漢方では、五臓(肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓)に心包(絡)を合わせて六臓と呼びます。六臓すべてにその機能を司る“神”というものがあり、その六臓の“神”に効果があるという考え方から六神丸という名前が生まれたともいわれています。
最初は輸入
日本では「亀田六神丸」が草分け的存在といわれています。亀田家は近江国甲賀郡(滋賀県)の出身。江戸時代の中期・元禄の頃、京都へ出て五条室町に店を構えました。代々、井筒屋利兵衛の名で、最初は紅商を営んでいましたが、のちに呉服商となり、鹿子絞りの商家となりました。その六代目・利兵衛の長男利三郎が親戚にあたる清水焼の陶工と中国・景徳鎮に同行したとき、上海で水に当たり、病気になりました。たまたま現地で入手した六神丸を服用して、すぐによくなったので、これを日本で広めようと思い立ち、「雷氏方」という処方に基づく六神丸を輸入して販売を開始しました。六神丸の評判は日本で年々高まり、明治26年(1893年)、呉服屋をやめて薬屋に転業しました。当時、中国から輸入していた六神丸には、麝香、牛黄(牛の胆石)、蟾酥(ガマガエルの耳下腺分泌物)、辰砂、鶏冠石などが配合されていました。効能には、肺病や腫物、赤痢病などと記されていました。
国産化
日本でも次第に浸透した六神丸でしたが、明治33年(1900)の薬制改革により、鶏冠石が「砒素が主成分の鉱物」ということで毒薬に指定されて一般に使用できなくなりました。利三郎はこの輸入禁止を機に、六神丸の国産化を実行に移しました。その際、呉服屋時代に井筒屋を名乗り、赤い文字で表記していたので、他の六神丸と区別するため「赤井筒薬亀田六神丸」と名付けました。
この頃の処方は記録がなく明らかではありませんが、戦前の処方は、麝香25%、牛黄13%、熊胆17%、蟾酥5%、辰砂12%、竜脳3%、真珠17%、結合剤8%でした。昭和48年(1973)、辰砂は水銀製剤ということで使用禁止となり、辰砂のかわりに人参を加えた現在の成分になりました。
原料
主要原料の一つ、麝香は、主に中央アジアや中国に生息する麝香鹿から採取します。日本の鹿とは異なり、小型で夜行性の習性を持ち、黒褐色の体毛で被われ、牡・牝ともに角はありません。麝香は牡の腹部の陰嚢に近い部分に袋があり、その中の包皮腺から分泌されています。強い香気は牡が牝を誘う“フェロモン”で、初冬の発情期に最も分泌量も増え、匂いもピークに達します。化学分析によると麝香の成分は、ナトリウム・鉄などのミネラルをはじめ、アンモニア化合物、アミノ酸、香気成分ムスコン、アンドロスタン誘導体、男性ホルモンなどです。
薬理作用は、中枢神経興奮作用、呼吸器系や、循環系神経の興奮作用、血圧降下作用、男性ホルモン様作用、抗炎症作用などが明らかにされています。「亀田六神丸」はこの麝香を主成分とする心臓・胃腸薬です。
現在の「亀田六神丸」の効能は、“万病効果”はもちろん認められず、「めまい、息切れ、気つけ、腹痛、胃腸カタル、食あたり」と限定されています。処方も今では不動です。麝香をはじめ、牛黄、熊胆、蟾酥と高価な動物性の生薬が主体です。熊胆は現在では牛胆など、ほかの“胆”を代用しても許されていますが、弊社では、組成がやはり違うとして、頑なに熊胆の配合を守っています。初代は、「薬は原料が命。薬は広告でなく、実際の効果で売れるもの」という信条でしたので、今も手に入りにくい原料を吟味して使用しております。「アスピリンはどこへ行ってもアスピリンですが、生薬は微妙で、産地によっても成分に違いが出てきます」例えば、牛黄はオーストラリア産が最上とされていて、弊社ではその入手に万全を期しています。なかでも入手が困難とされるのが、稀少薬の麝香です。「亀田六神丸」は他の六神丸の約4倍の麝香を配合しています。この麝香を取るための麝香鹿は、ワシントン条約(希少動物の国際間取引を規制する条約)の制約下にあり、日本は昭和55年(1980)に批准したので、現在、麝香の輸入は全面的に禁止されています。新たに日本に麝香を持ち込むことはできません。しかし弊社には日本最大級の麝香の備蓄があります。
小児六神丸の成分のひとつ「犀角(サイカク)」、今ではワシントン条約(希少動物の国際間取引を規制する条約)で一切日本に入ってこないものです。
気つけ薬
「亀田六神丸」はゴマ粒大の丸薬です。口に含むとやや苦みが伝わり、そのまま溶けるに任せると舌がしびれを感じるのは蟾酥の作用で、すみやかに飲み下してください。舞台に上がる前にそっと「亀田六神丸」を口に含むタカラジェンヌがいらっしゃいます。あがりを止める“気つけ”として使用されている方もいらっしゃいます。
商品の特徴
- 亀田六神丸は、心臓の働きを強くして、血液の循環を改善する薬です。
- 更年期など自律神経の乱れのような不定愁訴の原因は血流にありますので、血流が改善されればよくなります。亀田六神丸で元気で長生きしてください。
第2類医薬品 ※パッケージは変更する場合がございます。 | |
商品詳細(一例) | 亀田六神丸 |
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効能・効果 | めまい・息切れ・気つけ・腹痛・胃腸カタル・食あたり |
用法・用量 |
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成分・分量 |
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注意事項 |
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※使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しくお飲みください。
商品に関する詳細情報は、株式会社亀田利三郎薬舗の企業サイトで、ご確認ください。