家庭薬の昔 日々進歩する家庭薬の昔をお伝えします!

家庭薬ロングセラー物語

サロンパスAe発売開始年:1931(昭和6)年企業ロゴ

“お客様第一主義”の商品展開により、生活シーンで生き生きと息づく貼付剤に。
商品の歴史と説明

サロンパスの誕生

昭和9年誕生時のサロンパス【昭和9年誕生時のサロンパス】

昭和9年(1934年)。巷には今をときめく流行歌手、東海林太郎が唄う「♪泣くな、あーよしよし寝んねしなー…」と始まる「赤城の子守唄」が流れている。また、新聞紙上では、ドイツでヒトラーが国民の圧倒的支持のもと総統に就任したと報じている。戦時色がじわりじわりと近づく気配が漂い始めたこの年、所は九州、肥前鳥栖の地から、一つの商品が生まれた『サロンパス』の誕生である。
“横文字は敵国語”とヒステリックになるのはこれより約10年後のことであるが、この当時でも余り好まれてはいないのは当然。本来はフランス語で社交場の意味を持つ「サロン」ではあるが、日本ではどうも遊興的場所を意味することが否めない時代。くだんの「サロン」に「パス」を結合させた商品名に、カーキ色を国防色と定め、戦意高揚を推進するその筋の者が眉をしかめたのも無理からぬことであろう。本当は、主成分のサリチル酸メチルと剤型を表すプラスターを結合させて発想された至極真面目なネーミングであったが、時代背景を考えると四半世紀先を見据えた名前ではあった。第二次大戦後、『サロンパス』は爆発的人気を博し、周知の名前となったことがこれを証している。

久光製薬

かくの如き、当時としてはモダンな名前を持つ『サロンパス』を発売した久光製薬。今を遡ること160年、江戸時代の弘化4年(1847年)創業の老舗中の老舗である。詳細な説明は割愛するが、現 久光製薬 九州本社がある一帯には、江戸時代中期、すでにくすり産業が栄えていた。その内の一社が久光製薬の前身である。

『サロンパス』の開発と挑戦

サロンパスが発売されるまでの外用貼付剤の花形は、鉛丹とゴマ油を主成分とする「万金膏」であり、当然、当時の久光製薬においても主力商品であった。万金膏の膏体は黒色。この黒い膏体が皮膚に残ったり、肌着に付着するという欠点を持っていたが、致し方ないと諦められていたのも、これに代わるくすりがなければ当然のことであろう。この欠点を解消し、これからの時代に通用する外用貼付剤として白色の貼付剤の開発に挑戦したが、その道は航路難、航路難の連続であった。
万金膏とは大きく違う、ゴムを基剤として用いる全く未知の技術分野である。他からの技術導入を図ったりしたが、最後は独自の技術開発の必要に迫られ、処方、製造方法の開発が秘密裏に不眠不休で行われ、昭和9年、苦労の末その開発に成功したのである。

昭和11年・宣伝風景【昭和11年・宣伝風景】

サロンパスに関する宣伝告知にも稀有の方法が採られた。実物宣伝、略して「実宣」。商品見本をとにもかくにも配りまくる戦術である。後に社長となる中冨正義が、銭湯に出向いて風呂上がりの者に貼ってまわったと言うのは有名な話。
なお、この「実宣」はその後、久光製薬の企業理念の一つとなる。さらに、戦後の民間放送の開始に伴い、今にいうサロンパスのコマーシャルを開始する。当時としては珍しいコマーシャルソングも作られる。

サロンパスのCMソング【サロンパスのCMソング】

「♪サロンパス、サロンパス、ぐんぐん染み込むサロンパス、はってすっきりサロンパス・・・肩が凝りますサロンパス、腰の痛みにサロンパス、お風呂すんだらサロンパス、夜はすやすやサロンパス」。作用機序、効能、用法等が網羅され言い得て妙のコマーシャルソングである。しかし、作用機序を表す「ぐんぐん染み込むサロンパス」に役所からクレームがついた。「ぐんぐん」は余りにも誇大であろうとのこと。最近では密着浸透効果と改め、今日は「八の字貼り」との効果的な貼り方を訴求している。

「好事多魔」

昭和9年以降、サロンパスは大きな社会的信用を備えた「ブランド」としての地位を着々と築き上げていった。好事魔多し。昭和55年(1980年)、久光製薬まさかの赤字決算。ここに至って、ブランドを築くことは非常に困難で長い道程ではあるが、これにあぐらをかき、過剰な自信をもつことはいとも易いことを身にしみて知らされることになる。そして、サロンパスに長い歴史と伝統があろうとも、今があるのは、これを支えていただいているお客様のお陰であるということに気付かされるのである。
新しく就任した社長の中冨博隆はこの久光製薬の危急存亡に当たり、これを救う唯一の策として『お客様第一主義』という企業哲学を声高らかに言明したのである。

サロンパスの誇りと支え

商品パッケージ【商品パッケージ】

これを契機として久光製薬では営業面、技術面での革新が続けられたが、その基軸は当然『お客様第一主義』であった。海外にも大きな展開が図られ、現地生産、現地法人の設立、そして多くの国への輸出と、世界における外用貼付剤として大きく発展を遂げていくのである。
その後の研究開発の成果により、久光製薬でも第二世代の貼付剤と称される外用貼付剤が開発され、会社の一翼を担うまでに成長したが、久光製薬の誇りと心の支えは昭和9年に世に出た『サロンパス』であることは言うまでもない。

商品紹介

商品の特徴

  • 血行を促進するビタミンEや炎症を抑え痛みを鎮める作用をもつサリチル酸メチルなどを配合しています。
  • 基剤に高分子吸収体を使用して汗を吸収し、皮ふ刺激を抑えた、カブレにくい外用鎮痛消炎剤です。
第3類医薬品 商品写真 ※パッケージは変更する場合がございます。
第3類医薬品 商品写真 ※パッケージは変更する場合がございます。
商品詳細(一例)サロンパスAe
効能・効果肩こり、腰痛、筋肉痛、筋肉疲労、打撲、捻挫、関節痛、骨折痛、しもやけ
用法・用量1日数回、患部に貼付してください。
成分・分量
  • (膏体100g中)
  • サリチル酸メチル:6.29g
  • l-メントール:5.71g
  • ビタミンE酢酸エステル:2.00g
  • dl-カンフル:1.24g
商品構成10枚入、40枚入、80枚入、140枚入、240枚入
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