家庭薬の昔 日々進歩する家庭薬の昔をお伝えします!

季節の生薬について

生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。

冬の薬木 マンサク:マンサク科マンサク属 生薬名:満作葉(マンサクヨウ)

  • 冬の薬木 マンサク:マンサク科マンサク属 生薬名:満作葉(マンサクヨウ)
  • 冬の薬木 マンサク:マンサク科マンサク属 生薬名:満作葉(マンサクヨウ)マンサク

マンサクは日本の北海道渡島半島、本州の太平洋側から四国・九州の山地に生育し、特に、山林に多く、山里の雑木林や谷筋の林に自生しています。また多く花木として庭に植えられる木でもあります。

マンサクは、2月~3月に他の花木に先駆けて、リボン状の鮮やかな黄色い花を一ぱい咲かせます。

多くの俳人・歌人が「満作」を詠んでいます。
満作や 明日の面影 餅の花松尾芭蕉    満作の 花を愛でつつ 雪見かな正岡子規    満作に 春の訪れ告ぐる花
咲き初むる庭に 心踊らむ
与謝野晶子    満作の 花咲く頃に君と居る
春の光を心に刻む
斎藤茂吉

  • 満作や 明日の面影 餅の花 松尾芭蕉
  • 満作の 花を愛でつつ 雪見かな 正岡子規
  • 満作に 春の訪れ告ぐる花 咲き初むる庭に 心踊らむ 与謝野晶子
  • 満作の 花咲く頃に君と居る 春の光を心に刻む 斎藤茂吉
  • 満作や
    明日の面影
    餅の花
    松尾芭蕉
  • 満作の
    花を愛でつつ
    雪見かな
    正岡子規
  • 満作に
    春の訪れ告ぐる花
    咲き初むる庭に
    心踊らむ
    与謝野晶子
  • 満作の
    花咲く頃に君と居る
    春の光を心に刻む
    斎藤茂吉

この和名マンサクの語源がいいですね。早春に他の木に先駆けて花が咲くことから「まず咲く」「真っ先」が転訛した説、また黄金色の花が多数咲くと豊作になるといわれることから「万年豊作」に由来する説、あるいは花がたくさん咲くから「満咲き」とする説などがあります。

マンサクの木の枝は結束素材として使われ、世界遺産の飛騨白川郷の合掌造の骨組みの結束に利用されていて、その技術が保存・継承されています。

また、薬用としては、夏に葉を採取し、水洗い後、日干しにして使用します。葉にはハマメリスタンニンなどのタンニンが3%ほど含まれていて、民間薬として下痢止め、皮膚炎、止血、扁桃腺炎、口内炎などに用いられています。

イーバンアト研究所 所長 薬学博士
田部昌弘

田部博士の【寄り道・脱線 生薬雑話】