生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。
夏の薬木 ハマゴウ:クマツヅラ科生薬名:蔓荊子(まんけいし)
小豆島の「二十四の瞳」の舞台になった小学校の脇に薄い青紫のハマゴウの花が咲いています。
ハマゴウは、日本では、北海道を除く各地の海岸砂地に群落をなし、大繁殖する落葉の低木です。幹は長く地を這って、所々に根をおろします。
ハマゴウの名は、葉を線香の原料にしたことから「浜香」の名が生まれ、これが転訛してハマゴウになったといわれています。
花期は夏から初秋。芳香のある青紫色の小さな目立った花を咲かせます。
果実を10~11月頃にとり、日干しにして生薬(蔓荊子)とします。果実には精油、脂肪油、フラボノイドのビテキシカルビンなどが含まれています。
効能として、神経痛・手足の痺れ・ひきつりに用いられますし、頭痛・風邪にも用いられてきました。
また、蔓荊子を主薬とする「蔓荊子散」は中耳炎で膿が出る時に用いられる漢方薬です。