家庭薬の昔 日々進歩する家庭薬の昔をお伝えします!

季節の生薬について

生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。

夏の薬草 ウツボグサ:シソ科生薬名:夏枯草(カコソウ)

  • 夏の薬草 ウツボグサ:シソ科 生薬名:夏枯草(カコソウ)
  • 夏の薬草 ウツボグサ:シソ科 生薬名:夏枯草(カコソウ)
  • 夏の薬草 ウツボグサ:シソ科 生薬名:夏枯草(カコソウ)

ウツボグサは、アジアの東部から北東部、日本各地の山の草原でよく見かける花ですが、平地にも多く咲いています。日当たりの良い場所に群生しています。丈は10~30センチ、花は大きく紫色が美しいので、夏の花10傑に入れてもおかしくはありません。
和名ウツボグサは、武士が用いる弓矢を入れて背負う靭(うつぼ)に円筒形の花穂の形が似ているからの命名で、生薬の夏枯草は、夏に花が終わると褐色に変わり、一見枯れたように見えるところからきています。
8月になり、花穂が褐色になりはじめたころ、花穂だけを採り、日陰で乾燥して生薬にします。
夏枯草は、消炎性の利尿剤で、主に民間療法として、膀胱炎、淋病、腎臓結石などに用います。有効成分としてトリテルペンのウルソール酸、塩化カリウム、タンニンなどを含みます。

  紫は こまやかなれや 日はたけて
  草生にまじる うつぼ草の花    古実
  紫を 好む虻らし うつぼ草    景子